4月2日神奈川県本部会館において、女性部「深刻化するDV・ストーカー被害」の講演会が行われました。講師は「かながわ女のスペースみずら」理事阿部裕子さんです。みずらはDV被害者の駆け込み寺として、加害者から逃げ、存在を知られたくない女性のシェルターでの保護や自立支援等も行っています。またDV被害者のみならず様々な女性の相談にものっています。
DVとは
配偶者からの暴力の事ですが、配偶者の対象は結婚している夫だけではなく、元夫、内縁の夫、同棲相手、交際中の男性が対象になります。男女が被害者・加害者の立場で逆転しているケースも1割程あります。
家庭環境は貧しい家庭ばかりではなく、裁判官、警察官、公務員、会社重役など、社会的地位が高く高収入の家庭でも起こります。年齢も若者だけではなく80代の夫婦の間でも起こります。
DVを受けている女性は毎日夫からののしられ泣きじゃくる、ののしられ泣きじゃくると繰り返しているうちに自尊心が無くなり精神的に支配され、長期になると鬱(うつ)になってしまいます。
被害者はDV家庭で育つケースがあり、父親と同じタイプの男性を選んでしまう。また男性も父親と同じ事を女性にしてしまうなど、加害者・被害者共に家庭環境の中で連鎖を起こしていることがあります。親子の信頼関係を作れないために、異性と性的つながりを求めて知り合って間もなく深い関係になってしまう事もあります。
最近の男女の出会いの場は「出会い系サイト」「ゲームのチャット」など直接話をせずに盛り上がり、実際に会ってから短期間で性的交際をもち同棲へと進んでしまいます。
DV被害者の自立支援に向け生活基盤を支える取り組み
(1)自立のための施設利用=中期シェルター、ステップハウス、母子施設女性保護施設(単身)(2)施設を出た後の住まいの確保=民間住宅、公営住宅、保護命令で親族宅(3)経済支援=生活保護の適用など(4)就労支援=母子家庭や生活保護受給者のための就労支援始業の活用、職業訓練の相談や情報提供が行われます。また母子の場合には傷ついた子どもへの対応が必要です。
ストーカーの定義
「恋愛感情が満たされなかったことに対する怨念の感情を充足する目的でつきまとい等繰り返すこと。」
行為は(1)待ち伏せ、つきまとい、見張り、押しかける。(2)監視していると告げる。(3)面会、交際の要求。(4)著しく粗野又は乱暴な言動。(5)拒まれても連続して電話、FAX、メールを送る。(6)汚物、動物の死体等嫌悪するような物を送る。(7)名誉を害する。(8)性的羞恥心を害する。等を行う事です。女性が自分の意志に従わない事に対する仕返しや追求であり根底には根深いジェンダーがあります。
被害にあうと自分や家族への仕返しが怖くてはっきり意思表示がしにくくなりますが勇気を持って「NO!」と言い、家族や警察へ相談し一人で抱え込まない事が大切です。脅しへの対応策はあります。被害にあった場合にはストーカー規制法により警察が加害者に警告する事で8割が収まるそうです。
今回の講座は講師と参加者が意見を出し合いながら進み、DVの根深さやストーカー被害が身近な事である事を実感し、個人だけでは解決できない問題であり、行政や社会全体で取り組む課題である事が確認できました。 |