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横浜市2024年度予算案に対する自治労横浜の見解について
2024年2月
自治労横浜市従業員労働組合
〃   連合会
 

 2024年1月29日、横浜の未来に向けた取組を力強く進める横浜市の2024年度予算案が発表されました。

 横浜市の財政状況は、近年臨時財源に頼らざるを得ない状況が続いており中期財政見通しでは、2024年度は340億の収支不足が見込まれる中での予算編成にあたった職員、そして日々業務を遂行している全ての職員にあらためて敬意を表したいと思います。

 

2024年度予算規模 

 一般会計の総額は1兆9,156億円で前年比0.7%増)過去3番目の規模。特別会計などを含めた総額は3兆8,345億円(0.9%増)となりました。

 

 一般会計の歳入として、市税収入は、企業収益の増加や、個人市民税の納税者が増加し1人当たりの給与収入金額の増などにより当初実収見込額で同2.2%増の8,830億円を見込んでいます。

 内訳は個人市民税が1.0%増の4,213億円、法人市民税は7.3%増の512億円を見込んでいます。固定資産税は地価上昇や新増築家屋の増加で2.6%増の2,996億円。この他に事業内容の見直しなどで153億円の財源を創出することで市債発行額は7.2%減の1,066億円となっていることから2030年度までに同基金に頼らない予算編成にする方針は現状達成できていると言えます。

 一方でふるさと納税制度による税の流出については2024年度の当初予算時点で▲291億円と年々増加しており深刻な状況です。政策局財源確保推進課の取り組みとあわせて国に対する税制改革の要望などを引き続き求めていくことが重要だと考えます。

 

 歳出は、人件費が、退職手当の増(定年引上げに伴い隔年で定年退職者が生じる)で195億円増の3,875億円、扶助費は主要事業である子育て関連給付・助成事業の増により253億円増の5,998億円、公債費は36億円減の1,741億円「人件費」と「扶助費」、「公債費」を合わせた「義務的経費」が昨年比1.8%増の1兆1,614億円、一般会計1兆9,022億円の割合が60.6%となり財政の硬直化が進んでいる傾向があります。

 特別会計1兆9,156億円、公営企業会計6,110億円と合わせた総額は昨年と同水準の3兆8,345億円となりました。(0.9%増)

 

 2024年度予算案では、「市民の皆様の安全・安心」をはじめ、「子育て世代が実感できるゆとり」の創出、「誰もが自分らしく暮らせるまちづくり」、「脱炭素化の早期実現」、そして、「横浜のグローバルな魅力と活力を高める」5つの視点を重視し、どの取組も、中期計画の基本戦略「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」に向けて、全庁一丸となって取り組むと山中市長は発信しています。それでは項目ごとに概要を分析し見解を述べたいと思います。

 

市民の安全・安心 

 地震等の災害に対し、ハード・ソフト対策の事業を軸に「地震防災対策強化パッケージ」として、都市インフラの被害防止に187億400万円と計上。また、能登半島地震を受け、「災害による被害の軽減」として感震ブレーカーの設置補助対象を市全域に拡大として9億1,400万円を計上。「地域防災拠点の充実・強化」として2億8,300万円を計上し、市内全459カ所の地域防災拠点で液体ミルクの備蓄を開始するとともに、基準面積に満たない狭小な防災備蓄庫を補完する簡易倉庫を112か所設置します。

 防災・減災対策は喫緊の課題であり、首都圏では被害の想定規模も甚大であることから引き続き対策の強化に向けた取り組みを求めていきます。

 

子育て世代の「実感できるゆとり」 

 中期計画の基本戦略で山中市長が第一に掲げた子育て世代への直接支援として3,716億円を計上。特に子育て世帯の負担軽減に重点を置き、出産育児一時金に、横浜市独自の助成金9万円を上乗せする出産費用の助成に20億5,600万円を計上。市長選公約でもあった出産費用ゼロについて、市内全ての分娩取扱施設を対象に出産費用に係る状況を調査し、「基礎的費用」の中央値は55万5,000円、市内の公的病院で最大57万円と調査結果がでたことから、出産育児一時金50万円に市の9万円を上乗せして基礎的費用をカバーすることとしています。

 また、「放課後等施策での時間的負担の軽減」に149億5,900万円を計上し、保護者アンケートで93%が利用を希望した夏休み期間中の昼食提供等「小1」の壁問題に対して放課後施策のモデル実施や子育て応援サイト・アプリ(仮称)の運用開始に6億500万円を計上。中学校給食事業費に51億5,100万円を計上し全員給食に向けた中学校給食推進校の拡充などを実施します。

 横浜市独自の財政支援などの施策によって多くの子育て世帯の流入を期待していますが、急速に進む少子化対策は各自治体でも若い世代の定住化に向けて様々な施策を打ち出しており、経済的支援だけでは、家賃などの物価が低い近隣市や高校の授業料実質無償化などを進める東京都などと比べるとアピール不足と感じます。

 

誰もが自分らしく暮らせるまち 

 「のげやまインクルーシブ構想」として4億3,100万円を計上し、障害児者支援拠点(多機能型拠点)の整備、中央図書館の親子フロアの整備、野毛山動物園のリニューアルを進めるとしています。また、総合的ながん対策の推進として45憶2,800万円を計上。安全・安心でより良い教育環境の整備として453億6,300万円を計上しました。

 横浜市に暮らす全ての世代が健康で住みやすい環境となる施策であると期待します。一方で最寄り駅からのアクセス環境向上は高台にある野毛山を拠点とした構想にかかせないことから早期の実現に向けた検討を求めていきます。

 

脱炭素化の早期実現 

 脱炭素化に向けた取り組みに前年度から大幅に拡充し80億8,000万円を計上。2027年に上瀬谷通信施設跡地で開催予定の国際園芸博覧会「GREEN×EXPO2027」の開催に向けて「脱炭素・GREEN×EXPO推進局」を新設し、推進費用に51億500万円を計上。

 また、EVの普及拡大では1,800万円と前年より予算を拡充し、公民連携で公道上の急速充電器設置(2030年までに現在の2倍の400口設置)、新たにコンビニへの設置促進を進めると具体的に示されました。さらに、自治会町内会館の脱炭素化支援として照明LED化などの補助事業に11億3,700万円を計上しました。

 エネルギー不足が加速する中で脱炭素化、再生可能エネルギーの活用につながるEV急速充電器の設置について具体的な取り組みが進んだことは大きな前進と言えます。しかし国際園芸博覧会については、大阪万博が材料費の高騰や人材不足で工期が遅れていることを踏まえると進捗状況などについて注視していく必要があると言えます。

 

グローバルな魅力・活力あふれるまち 

 グローバル人材の育成に23億8,400万円を計上し、英語イマージョン教育モデル校、メタバーススクールモデル校を設置。スタートアップ・エコシステムの形成に2億8,000万円を計上し2027年3月までに東アジアでリードするスタートアップ・エコシステムを形成するとしています。また、地心臨海部の魅力を高めるまちづくりには7,600万円、戦略的なにぎわいの創出に16億5,800万円を計上しました。

 臨海部や関内地区をはじめとするまちづくりの整備は、横浜市の経済発展につながるものと考えますが、現在の社会情勢を踏まえた上で、地元商店街や中小企業に対する支援なども引き続き必要であると考えます。

 

DXの推進〜横浜DX戦略 第3クォーター 

 取り組み3年目のDXの推進には201億8,200万円を計上しました。

 方針1の「あなたがいる場所が手続きの場所になる」行政サービスの実現では、受付件数が多い上位100の手続きを中心に行政手続きのオンライン化が2024年度完了予定。方針2の「場所を選ばず組織を超えて連携できる」ワークスタイルの実現に前年より大幅拡充の47億6,000万円を計上し、ソフトウエアロボットによる業務プロセスの自動化、コードをほぼ記載することなく開発できる手法などが盛り込まれています。

 3年目を迎えるDXの推進ですが、特にシステム完成が目前なものは利用者が混乱しないよう丁寧な説明が重要だと考えます。また、システムを運用する職員に対しても研修などを実施するとともに、最終的に作業する職員の業務量の増大が想定されることから増員など必要な対応を求めていきます。

 

むすびに 

 2024年度予算編成による政策を展開する上で必要となる2024年度の市長部局の職員定数については、国等の定める配置基準への対応として35人学級の段階的実施や個別支援学級数等に応じた教職員の増員178人、重点施策等への対応として旧上瀬谷通信施設地区の整備体制の強化・GREEN×EXPO2027に向けた推進体制の強化27人、脱炭素社会実現に向けた推進体制の強化23人や児童相談所の体制強化54人など計792人増となりました。

 一方で市立保育所の民間移管(2園▲25人)、学校給食調理業務の民間委託拡大(4校▲12人)をはじめとする民営化・委託化、新型コロナウイルス感染症の5類化に伴う体制の見直し、工業技術支援センターの廃止や廃棄物収集・焼却工場の執行体制の見直しなどの事務事業の廃止・縮小・効率化等で▲659人と増員減員の差引では133人増ですが、市長部局に限ってみると45人減となりました。

 今回の予算発表と合わせて示された機構改革では、政策局は「政策経営局」と名称変更され経営戦略部を創設しデータに基づく戦略的な都市経営を進めていく中心的な役割となりました。また、環境創造局は下水道河川局、みどり環境局、脱炭素・GREEN×EXPO推進局へ分割して再編など例年にない大規模な機構改革となりました。

 山中市長は、「市民が何を思い、何を求めているか。市民の「声」を拾い上げ、その「声」に応えていく。職員と思いを一つに、市政を前に前に進めていく」発信していますが、横浜市は政令市の中でも特に職員数が少なく慢性的な人員不足が続いています。

 また、大都市制度「特別市」については、県との二重行政が解消、事務・権限・財源の移譲が進むことで労働環境の変化や横浜市の局と区の関係性など労働条件にかかわる課題が懸念されています。

 自治労横浜は、職員がイキイキと働ける職場環境・整備と合わせて、引き続き、公共サービスのあり方をしっかりと議論し、市民のために安定した行政サービスを遂行できるよう取り組みを強化していきます。

 
 

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