2月1日、横浜市の2016年度(平成28年度)予算案が発表されました。一般会計総額は2015年度当初予算(1兆4955億円)比1.3%増の1兆5143億円に上り2011年度から実質6年連続のプラス予算で2年連続の増額となり、2013年度に次ぐ2番目の規模となりました。
歳入は、約半分を占める市税収入(7159億円)では、景気回復に伴う給与所得の増加や企業業績の回復などが見込まれるため、個人市民税が21億円、法人市民税15億円の増額。固定資産税、都市計画税は新築民家の増加などであわせて37億円の増となります。
市債発行額は、中期4か年計画で掲げた枠組み(2014〜2017年度の4年間で合計6000億円の範囲)に基づき、昨年度比で130億円減(8.1%減)の1479億円となります。
歳出では、人件費や扶助費などを合わせた「義務的経費」の割合が56.2%で、2010年度(平成22年度)から7年連続で5割を超えました。このうち子育てや福祉、健康・医療経費である扶助費では、待機児童対策のための保育所関連費用などの増加(111億円)や障がい児通所支援事業費の増(23億円)などにより全体で158億円増の4535億円と歳出に対する割合が初めて30%に達し、過去最大額となりました。
予算編成の主要事業において、林市長は横浜発の課題解決策として「保育所待機児童ゼロの達成、女性の活躍支援」をあげており、保育所待機児童解消に向け、保育施設の整備では、受け入れ枠を2543人拡充し、既存園改修、マンション内保育室整備等の実施と合わせると2676人の受け入れ拡大を実施するとしています。
また児童の放課後の居場所を拡充する「放課後児童育成推進」に72億5200万円、28年度中に全ての市立中学校での実施をめざす「中学校昼食」は初期費用や配達費などで4億8200万円(うち昼食の用意が困難な生徒への支援3000万円)、小学3年までの通院医療費全額助成(所得制限あり)は、そのまま継続。さらに、2017年度から対象を拡大したうえで、定額の負担金を設けて全額助成の見直しを検討し、子どもの貧困対策として一人親家庭の自立支援強化や、妊娠・出産支援の助成拡大など女性支援も手厚くし、「子供を産み育てやすい社会の実現」をめざすとしています。
その他、主要事業としては、2020年(平成32年)の東京五輪・パラリンピックを見据えた都市整備や訪日外国人誘致策も本格化させ、山下ふ頭の再開発に135億3100万円、外国客船の誘致強化を見込んだターミナル整備に21億700万円を計上。2019年(平成31年)のラグビーワールドカップ(W杯)の開催準備事業費は1億1300万円を計上しています。林市長は五輪を見据えた予算について、「東京五輪はチャンスになるか東京の一極集中になるか分からない。大きなチャレンジと考えている」としています。
2016年度予算案は、「中期4か年計画2014〜2017」が折り返しを迎える年であり、林市政2期目の検証を行う上でも重要な年であると言えます。歳出の多くを占めた扶助費は女性の活躍を進めるうえで重要な子育てや福祉、健康・医療経費となっています。自治労横浜としても全国統一闘争として、男女平等社会実現を求める要求書を提出しています。また当局に対して、女性の雇用状況など女性の活躍をはかるうえで重要なデータ開示を求めてきました。引き続き私たちの要求に対し具体的に予算に反映しているか点検していくことが必要になります。自治労横浜は男女が共にいきいきと働ける社会(横浜市)に向けて取り組みを強化します。
また、2016年度予算編成による政策を展開する上で必要となる2016年度の職員定数は、増員減員の差引では70人増となっていますが、業務実態としては慢性的な人員不足となっています。私たち職員は、このような状況下においても、昼夜問わず業務を遂行し、市民サービスを停滞させることがないよう現場力を発揮しています。
自治労横浜は、その上で林市政の「オール横浜」「現場主義」を基本的に評価するとともに、職員のモチベーションを低下させないよう、市政の諸課題に取り組んでいきます。そして、実際の予算を執行していく立場として林市長が「はじめに」で述べているように「横浜を一層輝く都市へと飛躍させる」ためにも、労働組合としてもその役割を担っていくための取り組みを進めていきます。
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