日本での貧困問題は、衣食住に不自由した戦後の混乱期を経て、その後の経済成長とともに改善しました。1970年代以降、国民の多くが「一億総中流」と意識するまでに至りました。
しかしバブル経済崩壊後の1990年代には、経済の長期低迷の中でリストラや非正規社員の増加などにより所得格差が拡大しました。世の中には「勝ち組、負け組」なる言葉も生まれました。
親から子への貧困の連鎖も広がり、2015年には子どもの貧困率が過去最悪の16.3%になりました。日本の貧困率は、国際比較で見ても高くなっています。
OECDの統計によれば、00年代半ばの時点でOECD加盟国30カ国のうち、相対的貧困率が最も高かったのはメキシコ(約18.5%)、次いで2番目がトルコ(約17.5%)、3番目が米国(約17%)で、4番目に日本(約15%)が続いています。貧困率が最も低かったのはデンマーク(約5%)でした。
日本の相対的貧困率は、00年代中ごろから一貫して上昇傾向にあり、OECD平均を上回っています。「厚生労働白書」でも日本の特徴として、(1)相対的貧困率が高く増加傾向にある(2)ジニ係数がOECD諸国の平均より高く推移(3)就業率の男女差が大きく、長期失業者の比率がOECD平均より高い(4)男女間賃金格差が大きい、などと指摘されています。
所得格差を含めた経済格差の解決には、雇用のあり方とともに生活保護、公的年金、最低賃金などを含めた総合的な対策が必要です。
政治が、格差社会の進行を食い止める対策を急がなければなりません。
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