3月8日 春季生活闘争3・8国際女性デーが3月8日よみうりホールにて開催されました。
特別講演として日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介さんのお話がありました。
講演の中では、メディアが日本経済のマイナスイメージを誇大化し、消費税の導入やアベノミクスの効果をムード化している事や、女性の労働者が増える事によって出産率が増え、国内消費が上がる事を、データを使って詳しく説明がありました。
《藻谷浩介さん講演内容》
「女性が働く県ほど結婚率・出生率が高い」(20代・30代)
山形県は女性の就業率が62%と高く家事労働率が17%と低い、さらに出生率が1.45%と上位グループに入っている子育てしやすい県である事がわかる。反対に就業率が
43%と低い東京は家事労働率も23%と高いが出生率は1.1%と最下位になっている。
東京は就業率が低いのになぜ出生率が低いのかというと、家賃が高く保育園費用も高いので、女性が働いても出費がかさみ、手元に残る現金が少ないため専業主婦が多い。また夫が残業や接待ばかりで帰宅が遅く、家事や育児の分担が望めないので、子育てと家事の負担感から子どもを増やす余裕がない。高齢の政治家が「女性が社会進出したから子どもを産まなくなった。」と言うのは、全く現実的ではない事がわかる。
「日本の工業主導の成長の現実」
1985年バブル期を100とした場合、リーマンショック前の2005年には出荷額は111、付加価値生産性=国際競争力は152と高かったが、工業従業員は75と大きく減っている。雇用が減った理由は機械化が大きな要因。国際競争率が高いのに景気が良くならないのは、給料が上がっていない
為に国内の消費が上がらない。
「東京の一人勝ちは真っ赤な嘘」
東京特別区の小売商業の販売額はバブル絶頂期の1990年に14.8兆円に対して、2006年には売り場面積は23%増えたが13.3兆円と10%減少している。しかし個人所得税では1990年より1.5兆円増えている。2003年との比較では販売額は0.4兆円増だが所得税は3兆円増えている。販売額と比較して所得税だけが増えている不可解な現象の理由は、この時期に話題だった「ホリエモン」など時代の寵児と言われたマネーゲーム成功者達だった。
アベノミクスへの期待感で株価が急激に上がったが、日本のマネーゲームの多くの高齢富裕層は米国人のようにお金を使う事でなく、貯める事を楽しんでいる。幾ら政府部門が努力して貨幣供給をしても、高齢富裕層は所得をマネーゲームに回してしまい、実物消費には使われない。こういう状況の国では、現実には物価の上がりようがない。
「景気よりもワークライフバランスの回復」
問題は「国際競争」ではなく「日本人の加齢」であり、消費する世代人口が減少している事にある。経済再生のカギは「次世代を産み旺盛に消費する現役世代のワークライフバランス回復」つまり、(1)女性就労の促進と男女間賃金格差解消。(2)多世代同居→退職高齢男子による家事分担。(3)「値上げし賃上げできる商品・サービスへの移行」=「低価・大量・小種」から「高価・少量・多種」へ。
テレビでは「国際競争力の低下」「弱くなった日本産業」と将来不安をあおりお財布のひもを締める世情を作っていますが、現実の数字では日本産業は従前通り世界で頑張っているが、旺盛に消費する世代であるべき若者の雇用が安定しないために、車やレジャーの国内消費が冷え込んでいる。今以上消費人口を減らさないために、出生率を高める=女性が働いて子育てしやすい環境を整える=男性の働き過ぎも解消する=仕事と家庭の調和ワークライフバランスが大切!という事が様々なデータからわかりやすい講演でした。
▼講演内容は連合ホームページ
新着情報→2013年→3月→3月12日に掲載されています。
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