新卒採用では2年連続で高い就職内定率を記録しています。数年前と違い2014年に活動した学生は「追い風」を感じたのでしょうか。
しかし、こうした好調の陰で、着々と進んでいる「陰」があります。正社員は正社員でも制限がある「限定正社員」という雇用形態です。勤務する地域や担当する職種、勤務する時間などに制限があるもの。分かりやすくいえば、正社員と非正規雇用の中間に位置する社員です。
ユニクロ、日本郵政、スターバックスなどで新卒採用での限定正社員の導入を発表しています。非正規雇用が36%を超える現在、またまた不可解な雇用システムが広がろうとしています。導入拡大に反対の声も多く聞かれます。
職種限定の場合、その職務内容と成果の関係によって解雇しやすくなることは誰にでも分かることです。地域限定なら、拠点が撤退するときに解雇される可能性は高いと言わざるを得ません。判例では正社員の整理解雇では能力を基準にしての解雇は事実上不可能とされています。だが、限定正社員であれば、解雇のハードルは下がるといいます。
厚生労働省の企業調査では、12年時点で約5割の企業が何らかの多様な形態=限定の正社員の区分を設けており、総従業員のうち23.6%が職種限定、12.4%が地域限定とする調査もあります。じっさい、「限定」を明記した新卒採用の募集要項も珍しくありません。正社員と限定正社員では賃金と職位に大きな違いがあります。企業は「ひと」を採用していることの自覚が必要ではないでしょうか。
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