横浜市教育委員会は8月4日の定例会で、来春から市立中学で使う歴史と公民の教科書を「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版に決めました。この教科書は、古代神話を史実と描き、韓国併合を「一部に併合を受け入れる声もあった」と肯定するなど、国際化の時代に逆行する独善的な内容となっています。
これまで自治労をはじめとする労働組合、市民団体は「つくる会」系教科書の採択に反対運動を展開してきました。しかし、6教育委員のうち中田前市長が任命した4委員が歴史、公民ともに育鵬社を選び、採択されました。
横浜市教委は2年前に、全国の公立学校では初めて「つくる会」系の自由社の歴史教科書を18区中8区で採択しました。さらにその後18区に分かれていた採択地区を全市1区に統合し、現在全国最大の採択地区となっています。
従来、教科書採択に際しては、校長や有識者、保護者らでつくる教科書取扱審議会の答申結果が尊重されてきました。それが崩れたのが2年前。審議会で下位に評価された自由社の教科書が採択されました。その自由社版歴史教科書は、その後多くの表記の誤りが指摘され、また東京書籍版教科書からの年表の盗用が明らかになるなど、教科書として不適切であることがはっきりしました。今回も歴史分野では教科書取扱審議会で7社中5番目という下位に評価された「つくる会」系の教科書を採択しました。無記名投票から記名投票に切り替えるなど、透明性確保に向けた若干の努力はあったにしろ、これでは一部の教育委員の恣意的な判断と指摘されても仕方ありません。今後は「つくる会」系教科書を選ばない委員を任命していくことが重要になります。
自治労横浜は今回の採択について強く抗議し、育鵬社版教科書の採択撤回を要求していきます。また新教育委員の任命に際しては、教科書問題に十分配慮するよう強く要望していきます。
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